特集記事・欧州買い付け日記
創業祭に向けて、またまた買い付け(2008/04/03〜10)
ふと目が覚めると朝、10時を回っていた。遅刻だ!慌てて起き上がり気付た。今日は、木曜、定休日。そっか・・もう一度、横になる。たまには、お昼頃まで寝てもいいかな?怠け心の誘惑にコロっと負ける。惰眠を決め込み、布団にもぐる・・・・・ゆっくりと目を閉じる・・んっ?何?一向に、眠りは、やってこない!何て事だろう・・。若い頃は、いくらでも眠れたのに、そういえば、スタッフの石川が言っていたっけ・・「歳を取ると、体力が無くなって、長く眠れなくなるんですよ。寝るのにも、体力要るんですから!」って・・がっかりして、ベッドから起き上がる。買い付けに行ってる時は、座ったら最後、バスを待つほんの僅かな時間ですら、眠るのに・・・思えば、11月にロンドンに行ったきり、もう3ヶ月半も、買い付けに行っていない!凄まじいロンドンでの日々。眠気との戦いも、重い荷物との格闘も、いつの間にか、記憶の中で、薄れている・・ほんとうに、うまく出来ていると思う。あのたいへんさ、感覚が覚えていたら、二度と買い付けには、出られまい!すっかり忘れて、買い付けの旅への期待に、又、胸が高鳴る!嫌なことは、さっさと、忘れるのが、酉年、B型、私流・・(単に忘れっぽいと、人は言う?)「忘れるから、日々、感動出来て、いいですね!」こらっ!石川!誉めてない!

さあ、決算が終わったら、4月26日の、創業祭に向けて、またまた、買い付けに出掛けます!今度は、ロンドンに加えて、ヨーロッパの小さな国にも、立ち寄ることにした。目新しい物との出会いに、期待は膨らむが、初めての国は、リスクも大きい。土地勘も無ければ、アンティーク事情も、皆無・・万一、何も買えない場合、経費倒れと、精神的なショックは、覚悟の上とはいえ、相当、痛い!どうぞ、いい物と出会えますように・・・航空会社のポイントを利用して、チケットを取った。手配が遅れて、行きも帰りも、成田。名古屋ー成田間の航空券が、手に入らない。まあいいか、たまには、新幹線と成田エクスプレスで、地に足が着いている分だけ事故率が低いと、母が喜ぶ。ロンドンのホテル予約も、難航した。ずいぶん早くに予約を入れたつもりだが、すでに満室・・・。4階のダブルルームが、最後の5日間だけなら、用意できると言う・・。日々、荷物が増えていくアンティークディーラーにとって、ホテル移動は、出来れば避けたい。その上、エレベーター無しの4階は、きつい。重くて大きい物が好きな私には、地獄!ロンドンの中心に立つこのホテルは、立地がよく、便利で、少々高いが仕事で行くには、抜群の条件。取りあえず、仮押さえをして、他のホテルを当たる。自炊設備のあるホテルは、簡単には、見つからない・・。一週間ほど、ネットで、探していたが、やっぱり、見つからない・・・。困り果てている所にロンドンのホテルから電話!キャンセルが出たと言う。地下のコインランドリーの隣の部屋。いい、いい、この際。洗濯に便利じゃないの!問題ないわ!決めました!ホテルの予約確認書を見て、感動!(でも、ちょっと、高い・・。)諦めてたのに、いい兆し!「すごいでしょ?諦めてたのに、何か、運命的なものを感じるわ!」親しい友人に話して、呆れられる・・。「どうして、そうドラマチックに、考えたがるかな~?」う~ん、おっしゃる通り、これは、癖です。私の特徴!直りません!何はともあれ、ホテルも取れたし、順調順調!さあ、これで準備万端!すっかり、気楽になって、お客様に、渡英報告している最中に、突然、ふと、青ざめた・・。あれっ?、今回、立ち寄るヨーロッパの国から、イギリスまで、どうやって行くの?飛行機?列車?決めてないんじゃないの?キャー、忘れてた!すっかり、手配済みと思い込んでいました!何で、忘れちゃうんだろう?良かった!気付いて!慌てて、ネットで、飛行機を探してみる。イギリスに入るのだから、やっぱり英国航空かしら?日本航空と、ワンワールドで、結ばれているし・・・3分も経たないうちに、何と、たった19ポンドで、見つかった!うん?ちょっと待って!驚いた事に、税金とサーチャージが38ポンドも出る・?
不思議だ・・・・。3,876円の航空運賃に、7,752円の税金と燃料加算が出る・・・?ほんとに・・・?ネットは、怖い!誰にも聞けないんだもの。私って、とんでもない間違い、していませんよね?こんなに安いと言う事は、何かあるに違いない!今更ながら、疑心暗鬼・・・!荷物、持ち込めないんじゃないかしら?寸法制限、厳しいのかしら?チェックにチェックを重ねる。どうやら、落とし穴は無いみたい・・・。きっと大丈夫よね!何があっても、命までは取られまい。腹を決めたら、女は強い!またまた、根拠の無い自信。こうして考えてみると、ツアー旅行は、断然、気楽・。よく考えてあるものです。まあ、いろいろありましたが、いよいよ、買い付けに発つ準備が出来ました。3月末の棚卸、終わると同時に、出発です。
今度の戦利品達や、トピックス等等、現地から、随時、ご報告させて頂く予定です、どうぞ、ご期待ください・・・ヨーロッパからは、4月中旬に戻ります。アミューズ、22周年の創立記念フェアーは、4月26日(土)からを、予定しております。ゴールデンウィーク中、水曜、木曜を除いて、フェアー開催しますので、是非、この機会に、お出掛けくださいませ。

「買い付けの旅」 第一報 !
無事に成田に着きました。まずは一便
4月3日(木)
何年ぶりだろう?出張に出るのに成田空港に、飛行機を使わずに行くのは・・・今回は、どうねばっても、とうとう、名古屋ー成田の、飛行機が取れなかった。まあ、飛行機が取れたとしても、中部国際を、朝9時前後の出発のため、いつも6時に家を出なければならないので、同じ気もする!母の言うように、空路より、陸路の方が、安心と言えば安心か・・そう自分を慰めてみたものの、でも、やっぱり4時起き!準備で、夜が遅かったせいか、4時から、5分おきに3回も、仕掛けておいた目覚ましに、気が付かなかった・・。5時半に出掛けるのに、4時45分に起きてしまった!うーん、縁起がわるい・・・しょっぱなから。飛び起きて、大急ぎで身支度!刈谷駅へ・・・東海道本線と、新幹線、成田エクスプレスを乗り継ぎ、東京に向かう。スーツケースが、前日に送ってあって、助かった・・あんな荷物あったら、死んじゃう!6時7分のJRに乗り、名古屋6時58分発ののぞみで、東京へ・・・9時の成田エクスプレスに乗って、空港へ・・。(朝から3回も乗り換えた・・・。ふうっ・・。)成田空港の第二ターミナルに入り、よく分からないので、ウロウロ、ウロウロ。案内所のお世話になりながら、ようやく、チェックイン!やっぱり、成田に入るのは、たいへん!今度から、強がらず、どうやっても、空路を選ぼう!たとえ、多少、危険であっても・・・そういうわけで、今、空港のネットカフェからです。もうすぐ、ヨーロッパへ旅立ちます。又、買い付けの旅が、始まり、始まり・・・おっと、いけない!これ以上いると、乗り遅れてしまう。又、随時、お知らせしますので、お楽しみに・・・。では、又。
遠足の前日に眠れない子供じゃあるまいし編 !
4月3日(木)まだ、日付けは変わらない機内にて・・・。
シャンペンで喉を潤し、食事を頂いたら、すぐに眠る予定だったのに、何故か、目がパッチリ!昨夜の睡眠は、たった4時間!なのに眠気がこない・・初めての国に向かっているせいか・・・?遠足の前日に眠れない子供じゃあるまいし、そんな訳もないだろうと思いつつ、否めない自分もいる。まあ、そのうち眠くなるだろうと、ほんの少し前の話題作、アイ・アム・レジェンド にチャンネルを合わせる。狂犬病に似た疫病で人々が死に絶え、たった一人、免疫を持ち、生存してしまった博士の話・・。愛犬と暮らしている・・・入り込んだ。手に汗握って、のめり込んだ。アメリカ映画らしい終わり方ではあったが、何となく解決の兆しが見えて、一安心!調子に乗って、ライラの冒険、チームバチスタの栄光と一挙に3本見た。トマトジュースを飲んでいて、バチスタの手術シーンと重なった時は、参ったけど、(チョイスが悪い!)6時間ちょっとは、あっという間に過ぎた。飛行時間は、12時間。半分以上は、飛んだようだ。残り時間が半分を切ると、何だか焦る・・。今回は、行った事もない国なだけに、下準備は絶対に必要!一ヶ月前に買った地球の歩き方、まだ、折り目も付いていない。結局、ぎりぎりにならないと読めない・・この習慣、学生時代から変わることなく、本日に至る。時間がないと、頭に入る。無理やりにでも入れるから?丹念に読んだ。空港から鉄道の駅、駅から市内の移動方法、ホテルに近い駅はどこ?そこから、どの方向へ?スーツケースは23キロ。もう一つのコロコロバッグは、12キロ。左右に振り分け、石畳の道を歩けるか?ヨーロッパ=石畳と決めている自分に気付き、苦笑い・・。手が塞がるので、ハンドバッグは斜め掛け!スリ対策は万全か?頭の中で、シュミレーションする。切符の購入方法、降車駅、ホテルまでの地図と格闘が始まる。肝心なホテルのある通りが、どうしても見つからない。英語でも手に負えないのに、読み方も分からない国の地名、覚えて探すなんて土台無理!少々投げやりになるが、誰も助けてはくれない・・。気を取り直して、再度、地図を見る。あったあ!!なーんだ!思いもかけない方角にあって驚く。気付けば、ゆうに一時間は経っている。一人旅はたいへん。お膳立ては、何も無い。自分で、頑張るしかない!結局、全部書き出して、バッグに入れたところで、時間切れ・・。一睡もしないうちに到着してしまった。何だか、それはそれで、損な気もする。私、ないものねだり・・。あまのじゃくだ。
到着しました。
空港に降り立ち、先頭集団に入って、カツカツと、肩で風きり、ひたすら歩く。いつも思うが、空港はどこも、広すぎる。突然、先頭のビジネスマン風の紳士が立ち止まる。携帯電話だ!え~、困る!あなただけが、頼りなのに・・。先頭集団のペースが落ちる。急に、みんなで、行き先に不安?、ウロウロしている。半分に速度ダウン・・・。看板を見ながら、何とか、入国審査まで、辿り着く。「コンニチワ!」たどたどしい日本語で、検査官定番の挨拶が来る。うふっ、もしかして、若く見えた?「荷物を待つ間に、両替を済ましておきましょう。」「歩き方」に書いてあった。両替屋の名前が違うが・・・?旅行小切手の換金で、1000ユーロ(160、569円)が、155,430円になってしまう。手数料を5、139円も取られた!(こんなの、ぼったくりだ・・。)小切手に換える時、すでに1,589円払っているのに・・・。スリにあったと思って、諦めた・・。さあ、外に出るぞ!緊張が走る。ウロウロしてると、狙われる!平静を装う。タクシーで行っちゃおうかな?弱気になるが、初めての国は、すべてが、後のための勉強!やっぱり、頑張ろう!一足先に、到着しているはずの、友人に電話を入れる。やっぱり、出ない・・。イギリスの携帯電話だもん。繋がらないって!階段があったら、2個の鞄は、お手上げだ・・・。大丈夫かな・・・。確認できない・・・。腹をくくって、電車の乗り口に向かう。おっと、KIOSK発見!バスのチケット綴り、買えって書いてあった。明日早朝に、郊外に移動の為、電車の切符も、買っておかなくっちゃ!チケット売り場を探す。ここも、広い!突然、携帯が鳴った。友人からだ。繋がった!階段がどれくらいあるのか、聞いてみよう!ワーイ!「トラブルあって、まだ、空港のチケット売り場にいるのよ」地獄に仏、渡りに船?急ぎ、チケット売り場に向かうと、いたいた!嬉しい!ほっとする。友人の荷物、航空会社が、飛行機に積み忘れたらしく、調べてもらっていたらしい。ホントなら、何時間も前に、いつか、空港を離れているはず・・・。私的には、助かった!幸運な私不運にも、鞄の無い友人に一つ鞄を持たせ、ただ、着いて行く立場に、急変!ホテルに向かいながら、シュミレーションと重ねる。ずいぶん、違っている。おまけに、小さな段差が、あちこちにあった。もちろん、石畳・・・。車輪がコツンコツンと、足を引っ張る。乗り換えること2回、歩くこと5分、ホテルに到着!何故か、美味しくて安いというインドネシアのお店に行った。この国の名物ではないが、まあ、いいか・・・。食事をしたら、猛烈に眠くなった。目を開いていられない・・・。明日の蚤の市が楽しみ・・・。早々にホテルに戻る。もう、瞼のコントロールが利かない・・・。久しぶりに眠れる・・・。おやすみなさい・・・・。パチッ(消灯)

異国のアンティークも見てみたい!初日編
4月4日(金)
こっちは、ほんとうに寒いです。今日は、朝、6時からマーケットに行き、思いがけない品をゲット!早起きは、三文の徳!ほんとですね!頑張ってますが、文章を書いていると、時間が足りません。ちょっと、ショートにしていきますね!4月4日(金)初めての国で、のみの市へ・・ほら、やっぱり、2時だった!必ず、到着翌日は、朝、2時に、目覚める。何故だろう?ずっと、謎・・昨夜は、10時半に寝たので、実質、3時間半しか寝ていない。特別、目覚ましで起きたわけでもない・・。起きたら、それなりに忙しい。手持ちのユーロ、ポンド、日本円、金種別に、記録する。15年くらい前にロンドンで、スリに遭い、ポリスに所持金を訊かれたのに、全く分からず、苦い思いをしてから、どんなに忙しくても、出掛ける前に、所持金を記録するようになった。ノートの片面に、実際にある現金をチェックして、書き込む。帰ってきたら、使ったお金、現金の収支、クレジットカードの使用分を書き足す。右面には、レシートを、重ねて貼る。面倒なようだが、けっこう、達成感があって、大事な仕事。被害届け以外にも、役にも立つ。前回も、マーケットで、お金を払った、払ってないという、記憶ちがいのトラブルになった時、所持金から、追跡!解決につながった。(結局、払っていなかった・・・。あの時は、ごめんなさい・・・。平謝り。)朝、4時をまわった。会社に連絡を入れ、打ち合わせを済ます。しかし、こんな時代が来るとは、思わなかった。少し前までは、海外に行っていると言えば、治外法権だったのに、今は、瞬時に、電話が、かかる。うーん、逃げられない!そうこうしている内に、4時半を回った。友人に、5時に、モーニングコールを頼まれていた。ホテルは、7~8分、離れている。身支度を整え、電話する。うん?電話が掛からない?何で?10分間、掛け続けたが、この電話は、使われてないと、のたまう。自力で、起きていてくれる事だけを、祈りつつ、持ち物を整える。コロコロバックと、中国製のチェックの袋は、必帯品。買う気満々!とにかく、出かけようとノブに手を掛けると、けたたましいノック音。「ちょっと!ちゃんと、起きてる?」逆に、心配された。どうやら、私が、掛け方を間違えたらしい。とにかく、タクシーを捜し、駅に急ぐ。鉄道で、1時間弱の郊外の市だそうだ。今回の情報は、友人から・・・。言わば、おこぼれ頂戴の情報である。内容に関わらず、きっかけを作ってくれた事に感謝・・・イギリスのマーケットが、ダメな訳じゃないが、たまには、異国のアンティークも見てみたい。結果は、問題じゃない。初めての土地に入り、空気を吸って、仕事に繋げられるのが、楽しみなのである。さあ、着いた!人が集まっているのが、見える。イギリスよりも、何だか、のんびりした感じがする。みんなゆっくり、台の上に、物を並べている。何だか、こちらも、うつってしまった。ゆっくり、のんびり見ていく。特別、凄い物は、無いのだが、目先の違った品はある。それは、それなりに面白いが、買うまでには至らない。くれても要らないものもいっぱいだけど、それは、イギリスでも、同じこと。見て回るうちに、何だかんだ言っても、結局は、イギリスにもあるものばかり、買ってしまった。価格的には、多少安い物もあるが、飛行機、滞在費、そんな事を考えると、果たして、安いのか?クエッションマークがつく・・・・でも、たどたどしい英語が話せる人もいるので、買い付けは、何とかなる。さすがに疲れて、早めに切り上げる。戦利品は、まあまあ・・・広げてみると、数は無いだろうが、まあ、何だか、満足感!くたくたで、帰路に着く。今日こそは、早く休もう・・・・ホテルの部屋とベッドは、異常に狭いが、眠れればいい・・・荷物が、ひたすら重い・・・。それでは、又、明日・・・・明日は、会場に行く前にパッキングを、終えて、チェックアウト。夕方には、ロンドンに移動となる。又、忙しくなる・・・とりあえず、おやすみなさい。ZZZZZ・・・・

異国で、最後の大奮闘・・。編
4月5日(土)
2日目も、早起きは、続いている。今日は、午前3時起床。どの国に行っても、同じ事してる私。床を見て、ようやく覚醒!床いっぱいに広がった箱と、スーツケースが、現実に引き戻す。う~ん、洗面所に行けない・・。ほんとうに狭い部屋!気付かなかったけど、ここは、屋根裏部屋だ!そう言えば、23キロと12キロのスーツケース持って入ってきた時、ホテルの人が複雑な顔したっけ。エレベーターで上がってきたら、最上階を押したのに、下の階止まり。まるで、江戸時代の階段かと思わせる階段を、死ぬ思いで上がったのを思い出した。窓から眺める風景、ヨーロッパらしい屋根が連なる。突然、気分は、赤毛のアン!狭くても、平気!何だか、ロマンチックな気分になってきた。これも、いいかも?そうそう、それよりも、洗面所!もう、若くはないので、寝起きのジャンプは、避けたいが、いたしかたない。思ったより距離があった!着地、失敗!スーツケースに足を突っ込む。痛っ!シヤンプー踏んだ!もうっ!赤毛のアンは、何処かに、消えた・・・

今日は、8時半に、出発予定。せっかく朝食、宿泊に、ついているのだから、一回位、食べなくっちゃ!でも、それよりも何よりも、私は、出掛ける前に、2つの大きな仕事を、おえなくてはならない。 出掛ける前に、昨日の戦利品達を、日本に送る為のパッキング!スーツケースの荷造りもある。そして、あの階段で、荷物を降ろして、チェックアウトしなくては・・・・突然、頭が回転を始める。機内用荷物の重さと、スーツケースの重さの制限、よく、確認しなくては!重量で、超過料金支払うほど悲しい出費はない・・。何といっても、超過料金の設定が、法外!1キロ、確か7000円!頑張らなくっちゃ!刻々と時間が過ぎる・・。割れ物の高価な品は、手荷物バックに。重量物は、宅急便の箱へ。割れ物の小さい物は、箱を作って、スーツケースに・この分類作業が、けっこう、面白い。たいへんだけど、うまくいった時の満足感は、たまらない。刻々と、時間が過ぎる・・今、ヨーロッパの夜明けは、早い!明るくなってきた。先に身支度をする。あとから、洗面道具入れたり、何か引っ張り出したりは、避けたい。荷物が動くのは、致命傷になる。没頭しているうちに、朝、8時を回った。ご飯、食べなくっちゃ!でも・・・やっぱり、難航した。ネックは、あの狭い階段・・・スーツケースが、思ったより、重い気がする。25キロ位か?気をつけないと、私も一緒に、転がり落ちる。踊り場で、一休み。一歩、一歩、踏みしめながら、息を詰める。10分掛かって、何とか降りた・・・。次は、宅急便、そして、手荷物バッグ。結局、20分以上掛かってしまった。泣く泣く食事を諦めて、チェックアウト。凄い荷物にフロントも、驚く。宅急便の集荷が、月曜日になってしまう為、賄ろを渡す。これも、必要経費!鍵つきの別の部屋に、預かってもらった。

街角のATMで、キャッシングして、友人と待ち合わせ、もう一度、昨日の会場に向かう。ヨーロッパ大陸の鉄道の旅は、ワクワクする。この大陸、ロシアにも、繋がっているんだ。いつか、列車で回りながら、いろんなアンティーク、集めながら、旅したい・・。会場に着いた。あれっ、昨日よりも、店の数が増えている?逸る心を、抑えながら、一軒一軒、見て回る。ほんとうに、特別な物は、見つからないが、たまに、安い物もある。しばらく、買い付けに没頭した。まわりが、急にざわめいた!振り向くと、何とスターウォーズの面々が、歩いている。総勢12人くらい?ダースベーダーもいる!あまりのことに、ボーゼンとして、写真をとるのを忘れた。ええーー!何、何?急に、嬉しくなった!あまりに早く通り過ぎたのと、お昼ご飯を買う列に並んでいて、動けなかったのもあって、シャッターチャンスを逃がしてしまった。悔やまれてならない。そうこうしている内に、制限時間、いっぱいとなった。友人と、ここでお別れ。私は、一足先にロンドン入りする。最後に、もう一軒見てからと、思った矢先、可愛い子供用のベントウッドの椅子を見つけた。猫がついている・・・うわあ。どうしよう。荷物は、増やせない。特に、椅子なんて・・・迷いながら、隣のストールを覗く。レースの可愛いカーテンが、3枚。うっ、可愛い!!それにしても、かさばる!いつも、こうだ・・・そして、結局、どうにかなると思っている自分に負ける。椅子と、カーテンで、とんでもない荷物になった・・・。友人に別れを告げ、入り口まで来たところで、スターウォーズのダースベーダーの手下が、二人、話し込んでいた!荷物を、放り出して、慌ててカメラを向けたら、すかさず、銃を向けられた!こっちに、向かって来るっ!蚤の市と、アトラクションを、一緒に楽しんだ気がして、大満足!さあ、急がなくっちゃ!ふと、表に、目を向けると、バケツをひっくり返したような大雨で、あごが落ちた・・・どうして?こんな荷物なのに?友人に、電話する。「ねえ、一緒に、帰らない?」笑って、断られた・・・。傘は無理か?大きな中国製のチェックバックを左手に、カーテンの入った袋を縛って、左肩にかけ、前後に振り分けた。右腕に椅子を、バッグのように掛け、その手に傘と、もう一つのスーパーの袋を持った。駅まで、たいした距離ではないのに、肩の荷物が落ちないようにする為、身体が不自然に曲がっている。傘が雨の圧力に、必死に耐えている。心掛けが悪いに違いない・・・歯を食いしばって、ヨロヨロ歩く。駅が、こんなに遠く感じたことはない。ジーンズは、膝まで濡れている。まるで、我慢大会だ。10分以上掛かって、ようやく、駅に、辿りついた。この仕事、やっぱり、重労働。たまに、割が合わない気がする・・・。駅に着くと、少し、小止みになっていた。傘さえ要らなければ、問題ない。とにかく、ホテルに急ぐ。それにしても、この増えた荷物、どうしよう?宅急便に、ぶつけるしかないか・・・ホテルフロントの裏を借りて、荷造りのやり直し!それにしても、狭い・・・結局、裏は、踊り場だけしかない。ホテルの飼い猫だろうか?何度も、様子を見に来ている。怪しいと思ってるの?手を出したら、歯をむかれた。横の扉が突然、開いた。パッキング中の、私のお尻に当たって、危うく、前のめりに、地下に伸びる階段に落ちる所だった。今度は、私が、歯をむいた。どうにか、こうにか荷造りが出来た。もう一度、宅急便の荷物を、鍵の掛かる部屋に戻してもらう。まだ、賄ろは、効いている。タクシーを呼んでもらう。ようやく、異国の旅も終わりに近い・・・この次、来ることがあったら、きっと、一つくらい、観光地に行ってみよう。そう想いながら、ホテルを後にした。このまま、無事に、ロンドンに戻れるかどうか、何しろ、19ユーロ(3,876円)の航空運賃、何があっても、不思議は無い・・。まだまだ、出国まで、いろいろなことが目白押し。この先は、次の便りに、まわします。まだまだ続く、異国の旅・・・。乞うご期待!

異国の旅、完結編「19ユーロだもん!」編 !
4月5日(土)
タクシーの運転手、彫りの深い顔立ち、黒い髪に、金縁の眼鏡、年の頃は、30代というところか・・・?イスラム系の若者。私と同レベルの英語で、話しかけてきた。あんなに重い荷物を、コロコロも使わず、ホテルの入り口から、軽々と、車に積み込んでくれた。「割れ物入っているから、気をつけて!」と言うと驚くほど、そっとおいてくれた。人当たりのいい、真面目そうな青年。長身のせいか、痩せているのが目立つ。「ホリディーですか?」バックミラーから、神経質そうな目で、こちらを、覗き込む。「ノー、オン、ビジネス!」と言うと、意外そうな目をした。 ジーンズだからかしら?そういえば、あんなに濡れて、気持ち悪かったのに、バタバタと、荷造りに終われているうちに、 いつの間にか乾いてしまった。ターミナルを、聞かれる。うん?あっ、そうか・・。空港は、広い!ブリティシュエアーウェイズの書類を見るが、書いていない。うわー、しまった。事前に、訊いておこうと、思ったのに、忘れた。どこに入れた?地球の歩き方!「大丈夫です。BAですね?BAは、ターミナル3、航空会社が分かれば、大丈夫、分かります。」と言う。妙に落ち着いている。バックミラーの目が、少しやさしくなった。「何の仕事ですか?」[アンティークの・・」[ディーラー」と言いかけて、やめた。ロンドンで、取引先に、言われたことがある。アンティークのビジネスに関わっていると、現金を持ち歩いているという意味になるから、気をつけろ!と・・・。「アンティークのボタンを探しに来たの、服、作る仕事」と、うそをつく。「ああ、そうですか、」と聞き流される。会話が始まった。お互い、母国語ではない、英語の会話。いい勝負だ。「学校で、英語、習ったの?」尋ねると、「私は、タクシー運転手。毎日、外人を載せて走る。毎日が、勉強の場。実践だから、うまくなる」と言う。なるほどね。そりゃ、もっとも!私だって、値切り方だけは、うまい。20年、実践の場で、鍛えてきた。子供の数を聞かれる。「うん、いないの。」これがいけなかった・・・。「いない?それは、ダメです。それでは、子供をもらって、育てなくてはならない。子供が親になって、又、その子が親になる、神様が決めた事です。」怒涛のように、話し始めた。言ってる事は、まちがっていないが、説教好きなのか?うん?この国は・・・・・?そうか、筋金入りのカソリックだ。空港に着くまで、あと何分?、ずっと、叱られているような気分。早く、着かないかな・・。だんだん、厭になってきた。「あなたは、子供、何人いるの?」「あの・・、まだ、結婚していないから・・。」急に、ひるんだ。「何だ!」ここぞと、反撃に出てみる。「ガールフレンド、いないの?」目元が、赤くなった。チャンスが無いと言う。説教好きのおじさんから、恥ずかしがりやの青年に戻った。ほっとした。空港に到着、「今度来るときは、電話してください。空港まで、迎えに来ます。」名刺を渡された。料金は、ぴったり40ユーロ。チップを渡したが、受け取らなかった。珍しい・・・。真面目なんだな・・・。何気なく振り返ったら、タクシーの中から、手を振っていた。一期一会の言葉がよぎる

まずは、、チェックイン。時間に余裕は持っている。重量が不安、25キロはある・・・。恐る恐る重量計にのせる・・。食べ過ぎた翌朝、体重計に乗るよりも不安・・27キロ!わっ、どうしよ!超過料金4キロ×7000円!ええっっ?28,000円か?英国航空の女性、スーツケースの取っ手に、HEAVYのタグをつけながら、中身に壊れ物は、あるかと聞く。あるある!割れ物シール貼ってと頼み、祈る気持ちで、超過料金の請求を待つ・・。「良い旅を!」搭乗券を渡される。えっ?罰金無し?それでいいの?19ユーロの切符に、27キロの荷物じゃ、申し訳ない!喜びも束の間、目の前で、ベルトコンベアーの上で、立ったまま送られたスーツケースが、合流地点でバタンと倒れた。あああ!!!シェードが2つも、入っているのに・・・仕方ない!運を天に任せる。手荷物を抱えて、出国審査に。切符は、19ユーロでも、支障なし!確信した。初めての空港は、楽しい!お土産店が、軒を連ねる。あれこれ、見ながら、しばし気を抜くが、油断大敵!得てして、空港は広い。案内板で、ゲート確認!Hのゲートから、飛ぶようだ。最初が、ABCD,そこから枝分かれして、左方向が、EFGH。、最端だ。やっぱりね。ヒースローで慣れている。まだまだ、油断は、禁物!Hゲート、確認しておかないと・・・もう、いやっ!町名が、変わるかと思うほど歩いた。広すぎる・・・Gまで来て、何と、お寿司屋さん発見!カウンターに、外人が、鈴なり、職人さんが、アボカドを巻いている。吸い込まれるように、座った。オーダーを、取りに来ない。良く見れば、みんなパックのお寿司を、開けて、食べている。カウンター中央に、レジがあって、その前に、パックのお寿司がが積んである。そこで買って、カウンターで食べるという、システムのようだ。みやびというパックを買う。マグロとサーモンと巻物が、中身。レジの人、日本人に見えるけど、用心用心!そうでない場合も多々ある。ロンドンでは、いつも失敗!「ワン、ミヤビ、プリーズ」と、言うと日本の方ですか?と聞かれた。何だ、やっぱり日本人!そう思ったのよ!裏腹な私。嬉しくなった。思わず、ビールを頼んでしまう。出張ですか?目の前で、握っている職人さんに、聞かれる。まさに、日本の寿司屋のカウンター!ええ、ええ!そうです。いろいろと現地の情報、教えてくださる。12年も、この国にお住まいとの事。情報がライブしている。どんなお土産が、評判いいのか、どこの免税店がいいのか、つぶさに聞く。魚は、鯖やニシンが美味しいらしい。ニシンは、特に日本人好みらしい。塩で漬けたものに、たまねぎのみじん切りをまぶして、頂くらしい。レモンの酸味で臭みが消える。通常、パンに挟んでたべるとか・・・。ハーリングというらしい。興味津々。お礼を言って、早速、シーフードコートへ・・・白ワインとセットで、9ユーロ(1,440円)、お安い気がする。うん、美味しい!ワインに良く合う。お寿司食べた後なのに、又、食べてる・・・。ま、いいか・・。よく、働いたものね。

そろそろ、搭乗の時間が迫ってきた。Hのゲートに到着!私の便は、HのD02(デッキ2)と、なっている。D02は、すぐのところにあった。思ったより近い・・。ウェイティングルームで待つ・・・・。うん?おかしいね・・・。飛行機がいない?あと15分で、搭乗時間なのに、飛行機がいないなんて、有り得ない!乗客たちも集まってきている。ざわざわとボードを見て、話している。突然、掲示板に赤字で表示が出た。「CHANGE-TO-D18/GO-TO-D18」デッキ18に、変わったって言ってるう・・そうよね!このままでは、終わらないよね!なんたって、19ユーロだもん!デッキくらい、変わるわよね!でも、18ってことは、16個も先のデッキってことよね?えーーーーーーーー!?口が開いて、塞がらない・・・。慌てて、皆、移動を始める。またまた、地の果てまでかと思われる距離を、移動。さすがに、疲れてきた。だらだらと、行進。ウェイティングルームにいた人達、老いも若きも、ほとんどの人が、移動を終えた。なのに、ちょっと待って!、飛行機!D18(デッキ18)に、陰も形もありませんけど・・・。いいの?ここは、D18でしょ?もう、搭乗時間は、とっくに過ぎているのよ!ざわつきが、ピークに達したところで、ついにとどめを刺された!表示板に赤字で、「CHANGE-TO D 02・GO-TO-D02」もとのデッキ2に、戻れって言ってるう!!!!!!?どれほど、遠いか、分かっているのお?????!ちょとおおおおお!怒りが頂点に達した!こんな時、一人って、辛い!痛みを共有できない。カッーと怒って、爆発できない。もう、もう、やだからね!今度、移動があったら、ほんとに、怒るからね!神様、お願い、これで、最後にしてください・・・・結局、動くしかない事を知る・・・・又、行進がはじまった。やっぱり、19ユーロだもんね。きっと、何かあると思ったよ・・・トホホ・・・。とぼとぼと歩く。荷物が重い・・・遅れてきた人はいいな・・。きっと、D02に留まってるよね。10分掛かってようやく、着いた・・・おまけに、搭乗時刻どころか、出発時間まで、過ぎている。何だ、こりゃ?そして、重ねて驚いた!やっぱり、飛行機がいない・・・どうしてえ?頭が壊れた!いろんな想像が、駆け巡る・・・こんなときは、想像力、豊かな人は不幸だ・・・。悪いことばかり考える。英国航空のスタッフも大きな移動カウンターを持って、動いてきた。結局、待つこと、さらに40分、飛行機がやってきた。何の説明も無い!みんな、辛抱強いね!凄い!結局、1時間半も遅れて、イギリスに向かった。さすがに、疲れた。朦朧とする意識の中、薄いパン生地にロールされたサンドイッチのようなものが配られた。食べよう、食べようと、思いつつ、握り締めたまま、意識が薄れた・・・。気が付いたらロンドンヒースローに到着していた。サンドイッチが、手の中で、温まっていた。こんな形で、ロンドン入りするとは・・・明日からの買い付けがが思いやられる・・・。異国の旅、これで、ようやく、終わりを告げた・・・。お疲れ様!今日は、ゆっくり、休みましょ!逸る心を、抑えて、タクシーで、ホテルに向かった・・・・又、意識が薄れた・・・・・
4月5日(土)続編・ロンドン到着
[ミス!ミス!」何か、英語で、呼びかける声が聞こえる・・・。うーん、何?誰?タクシーの運転手が、おどけた笑顔で、ガラス越しに覗き込んでいる。あれっ、何?現状が把握出来ない・・・。見たことのある風景、玄関・・突然、意識が戻ってくる。あっ、そっか!着いたんだ!無防備にも、ロンドンタクシーの中で、熟睡してしまった。慣れた国ならではの安心感か?慌てて、料金を尋ねる。メーターを見ると、62ポンドの表示・・。チップを含めて、65ポンドか・・うっ、高い・・・・ここ数年で、タクシー代の値上がりが、異常な気がする。以前は、50ポンドが、目安だった・・。何はともあれ、慣れた常宿に到着。一安心!部屋に案内される。今回初めての、地下の洗濯室の隣の部屋!扉を開けたとたん、あまりの広さに、うろたえる。こんな部屋、あったんだ・・・。ベッドはダブル!お風呂も広い!凄い!広さは、昨夜のホテルの5倍以上!何だか、罪悪感にも似た気持ち・・。いいんだろうか・・。こんな部屋・・・筋金入りの貧乏性。居心地が悪い気がする・・・取り合えず、荷解きをして、スーツケースを空にする。この先、一週間、この部屋にお世話になる。それにしても、地下のせいか、異常に寒い。暖房をいっぱいに入れて、お風呂に入る。さあ、又、一から頑張らなくっちゃね!広いことはいい事だ!なのに、何故だろう?隅っこに移動してみた・・・あっという間に、眠気がきた・・・不思議・・・何はともあれ、おやすみなさい・・・

4月6日(日)ロンドン買い付け初日・・・・
暑くて、目が覚めた。喉がカラカラに渇いている。時間を見ると、夜中の3時半を回っている。夜明けは近い。汗をいっぱい掻いていた。4時間位は、眠ったようだ。そういえば、寒くて、暖房、最強に掛けたままだった。暑いはず・・・。暖房を下げて、机に向かう。ユーロとポンドが選手交代、金種別に、ノートに付ける。ユーロは、チャック袋に、ポンドが、主役になる。ポンドの財布を開けてびっくり!現金は、手持ちのたった90ポンド(18,000円)・・・しまった!空港で、少し現金に代えてくるべきだった・・・チェックは、嫌がる業者も多い・・・今更言っても、仕方ないが、悔やまれる・・・。ただ、初日はどうしても、この行け行けの性格で、買い過ぎる傾向。少し、ブレーキが掛かって、ちょうどいいのかも・・・気を取り直して、仕事を続ける。日本を離れて、まだ、たった3日?何だか、もっと過ぎている気がしてならない。それにしても、妙に、静かだ・・・。カーテンから、少し外を覗いて、驚いた。ふわふわと、雪が、舞い落ちている。軽くて大きな雪が、桜の花びらが舞うように、絶え間なく、降り続いている・・。地下に伸びる階段に、真っ白な雪が降り積もって、あっという間に、地面を、埋め尽くす・・。このロンドンで、4月の雪・・・。20年間、見たことがなかった・・・。時を忘れて、ただただ、見入った・・。静かに静かに、降り続く雪・・。しばらく経って、夜が明ける気配をみせた。漆黒だった空の色が、微妙に青く変わっていく。白い雪と、背景のそのコントラストの美しさ・・・・明け方の春の雪は、あまりに、はかない・・降り続いていても、地に着くと同時に、瞬く間に、消えていく・・・あっという間に、地面を覆っていた雪が消えてしまった・・・。吉田拓郎の、「外は白い雪の夜」の歌詞を、ふいに思い出した・・・・。

今日は、ビクトリア駅のそばで、私の好きなフェアーがある。前回は、震えながら、長い列を作って待っている時、雨が降ってきたっけ・・。雪は、もう降りやんだけど、間違いなく寒い。少し、着込んでいかなくては・・確か、10時半にオープンだったと記憶していた。10時半ちょうどに着いたつもりなのに、驚いた。すでに、帰っていく人もいる?完璧に、間違えた!出鼻をくじかれる。うーん、仕方ない、早ければいいというものでもない。腹をくくって、ゆっくりと見て回る。「あらっ?来てたの?」「いつ、来たの?」あちこちから、声が掛かる。一列目を見終わり、2列目で、突然、綺麗なブローチが、目に飛び込んできた!えっ?嘘でしょ?茶色の溶け込んだ、怪しい深いブルー。今日は、ライバルがいないの?通常なら、絶対、残っていない。早く来た業者にさらわれるはずの、サフィライトのブローチ。完全なオリジナル。値段は高いが、シルバーの台にセットされている。ホールマークが入っている。チェスターの19世紀のマーク!石を取り替えている跡もない、完璧なカボションカット、嬉しくなって即、購入!

今日は、どうやら、ついている!日本人の顔が見えない。(私が、出遅れただけか・・・・。)通常なら、こんなもの、残ってなんかいない・・・。ストレスなく、買い進んでいく。今日は、小さなものばかりが目に入る。そういえば、店のアクセサリー類の在庫が、少なくなっている。今回は、買い足さなくてはね!夢中になって、見て回る。気が付けば、午後2時を回っている。ちょっと、休憩・・。一人で、お茶を飲んでいると、4年ほど前まで、コスチュームジュエリーを、提供してくれていた、イギリス人夫妻が、やってきた。当時は、よく面倒をみてくれて、安くてクオリティーのいい品を、特別提供してくれていた。ホテルまで、足を運んでくれる事もしばしば・・・。ある時、些細な行き違いと、誤解から、ずっと疎遠になっていた。会う事もなかったが、いつも、頭を離れない、固いしこり。向こうも、驚いた様な表情・・。挨拶はしたものの、ぎこちない・・・。どうしよう。3つほど、後ろの席に座ったようだ・・・。人の中傷を、間に受けた私が、ショックで、遠慮して、疎遠になってしまった。事実を、確かめるべきだったのに、迷惑がられていると、一方的に思い込んだ。話すなら、今しかない!立ち上がろうとした瞬間、後ろから、声を掛けられた。「この席、一緒してもいいかしら?」コーヒーを持って、夫妻が立っている。驚き、慌てて席を空ける。やさしいブルーの目が、覗き込む・・。[元気だった?お母さんも?」心の鎖が、解けていく・・・。拙い英語だけれど、一生懸命話せば、伝わるはず!頑張った!でも、この時ほど、英語がうまくなりたいと思ったことはない!あっという間に、30分が、経った。昔のように、いろんな事を話した・・。今、どんなものを買っているの?訊かれて、今日の戦利品を見せた。「こういうの、まだ、欲しいの?」尋ねられる。「うんうん。でも、見つからないの・・。高いし・・。」「又、電話するね。」携帯電話の番号、変わっていないか確認をし合い、別れた。何よりも嬉しかった!心が晴れた・・・。今日一番の戦利品になった・・・。もう一度、会場に戻り、見残しがないか確認する。さあ、帰ろうと思った瞬間、直径50センチはある、茶色の大皿が、目を引いた。鶏と牡丹どう見ても、日本か中国の物。ぽてっとした茶色で、脆そうだが、欠けはない。ペアだが、微妙に違う。裏を返す。日本語のサイン?らしい・・サインとは別に、吉祥造と書いてある。縁起物ではあると確信。価格は、とんでもない金額がついている!イギリス人の手に負えなくなったのか、突然、半額でいいと言う。重量に戸惑うが、やっぱり購入する。酉年は、鶏に弱い・・・時計を見る。3時半を回ってしまった。もう、帰ろう。やっぱり、荷物が重い!あの皿だ・・・。ウォータージャグも、グラスもそういえば、重いものばかり!こんな時に限って、タクシーが捕まらない。大通りまで出る。どんどん重さが増してきた。やっと、タクシーを捕まえ、ホテルに帰ろうと思ったが、ちょっと思い立って、寄り道を頼む。タクシーの運転手が、難色を示す。理由を聞くと、オリンピックの聖火が通るので、そちら方面の道は混むという。あっ、そうか?今日なんだ!確か、4年前も、パリのオペラ座の前で、オリンピック聖火リレーに出くわしたっけ!何かと、聖火と縁があるようだ。でも、渋滞は困る!さっさと諦めて、ホテルに戻る。テレビをつけ、戦利品の荷解きをしていると、BBCニュースで、聖火ランナーが、妨害されている映像が流れた。くぎ付けになった。あれ、まあ!ロンドンは、たいへんな騒ぎだった事を知る。現地にいると、案外、気付かないもの・・・これは、世界で、トップニュースになるなあ・・・。明日は、朝4時に、ホテルを出る。ロンドン郊外のフェアー。さあ、少し早いが、寝る準備!聖火妨害のニュースは、つけっぱなしのテレビで、繰り返し、流れ続けていた・・・。

えっ?近づいてくる・・編
4月7日(月)
又、どこからか、かすかに、かすかに、コブクロの「蕾」が聞こえてきている。目が覚める。テレビでは、聖火妨害のニュースが、まだ流れていた。午前3時少し前・・・そう言えば、お金の収支がやっていないんだった・・のろのろとノートを開く。何気なく財布を開ける。小銭が、チャラリ。ああ、今日は、お金が無いんだった・・・。そうか・・うん?お金が無い????たいへん!今日のフェアーは、旅行小切手使えない!突然、バッチリ覚醒する!汗が出てくる。どうして現金に、代えておかなかったんだろう?落ち着いて、よーく、考える。今日、火曜日でしょ?カレンダーを確認。違う!月曜日だった!とんでもない勘違い。一日、間違えてしまった。焦って損した!もうっ!一人でロンドンで、過ごしていると、こんな事も多い。事前に気付いただけ、ラッキーだった。何年か前に、ロンドンから2時間も掛かる地方のフェアーに、前日に、行ってしまった事がある。ロンドンでのまちがいは、最悪!お金も時間も、取り返しがつかない・・そうか、今日は、月曜日。市内のマーケットの日。道を隔てた隣に、24時間のATMがあるので、お金の心配はない。このマーケットは、ロンドンで、一番寒い。(と、私は思う)地下を、河が流れているからだという。真夏でも、油断して薄着でいくと、凍りつく。たまに、観光客が、紫色の唇で震えている。まだ、午前4時か、出掛けるのには、早すぎる。室内に、増えてきた包みの山が目に付く。戦利品でも、見てみよっ!包みを開いていく・・頑張っている割りに、数が、買えてない。買い付けのたいへんさは、一つ一つ、苦労して買うだけに、数が買えない事・・今日は、アクセサリーと、雑貨を中心に、買いまわる予定。ちょっと早いが出掛ける。早起きは三文の得!これは、事実です。比較的、掘り出し物に出会う可能性のあるのが、今日のマーケット!けっこう、ガラクタが中心。買える時もあれば、全く、何一つ買えない事もある美術品を扱うディーラーは、このマーケットには、ほとんど足を運ばない・・。「あなた、あんなマーケット、何の為に行くの?」よく、同業者に言われるが、私は好き。タクシーを降りた途端、遥か奥のストールの隅に、ぽつんと置かれた花瓶が目に入る。視力も良くないのに、こうやって、目に飛び込んでくる時は、良い物が買える日近寄って、手に取る・・。思っていたよりもいい物で驚く。こんなところで、見つかる物ではない。それにしても、売ってる人は、どこ?物を置いたまま、どこいっちゃったの?無用心だなあ!顔見知りのディーラーが、「トイレ!」と、教えてくれた。そういえば、何年か前、ここのトイレで、ほんとうに怖い経験をした。けっこう立派な公衆トイレ。その時も、朝が早くて、まだ暗かった。男性用と女性用とは、少し離れた入り口。長い階段が、地下に伸びている。電気も明るくて、きちんと管理されている清潔なトイレ。でも、早朝は、無人。L字に並ぶ個室の中で、一つだけ、扉が閉まっていた。誰か入っている。深くは考えなかった。まだ朝の6時で、外は、真っ暗。トイレ内に、他の人の気配は無い。本能的に、閉まっている扉の隣を避けて、1つ飛んで、奥の個室を選んで用を足す。扉の鍵を開ける音がして、人が出た気配がした。出口に向かって、遠ざかるはずの足音がえっ?近づいてくる・・。ん?私の真横に入った。鍵を閉める音を最後に、物音1つしない。衣擦れの音も無い・・・。明らかに、用足しではない!息を潜めて、こちらの様子を伺っているのが分かる。突然、空気が張り詰めた。緊張が走る。薄い壁一枚で分けられた個室の隣に、確かに私の動きを伺っている誰かがいる。覗きか、物取り?手のひらが、じっとり汗ばむ・・。どうしていいか、分からない。喉が渇いて、息が苦しい・・こちらが、気付いた事を知られない方がいいのか?わざと音を立てて、身支度を整え、いつでも、走り出せるように、心の準備をする。心臓が、早鐘のように打っている。もしかして、上から覗いていたら、どうしよう。恐ろしくて、上も向けない。何か、武器になるようなものはないか、バッグをさばく。ボールペンを握る。いつも引っ張っている荷物用のコロコロも、投げつけたら、時間が稼げる。神様、助けて・・。恐ろしいまでの緊張感の中、時だけが過ぎていく。ただ、じっと、佇む。私が、異変に気付いた事、もう、向こうには分かっているはず。思い切って、走り出すべきか・・・。心臓が、口から飛び出すかと思うほどの緊張感。心音が、隣に聞こえてしまうのでは?その時、誰かが、鼻歌まじりに、階段を下がってきた!そして、一番、端の個室に入った!逃げるなら今!飛び出すしかない?でも、今、入ってきた人は、大丈夫なのか?思った瞬間、隣の鍵が乱暴に開き、人が、走り去る音がした。ああ、逃げていった!助かっんだ・・・神様!急にガタガタ震えがきた。鍵を開けて、向かいにある洗面に向かうと涙が出た。水洗の水音と一緒に、一番端から、見たことのある現地ディーラーが出てきて、ニコッと笑った。彼女は、このことを知らない。この人のお陰で、助かった!感謝しても仕切れない!「い、い、今ね!」一緒に手洗いに並び、感極まって、話しかけた途端、、私の心臓が凍った!向かっている洗面の鏡の左隅で、何かが動いたのに、気付いてしまった。濃い灰色のパーカーを着た男の、真っ黒な手が、かすかに映っている。L字の角の壁に、背を貼りつけて、明らかに隠れているのを、鏡が拾ってしまったのだ。もう一人、いたんだ!?気付かぬ振りをして、急に、彼女と世間話をしながら、出口に急ぐ!5段ほど上がったところで、彼女の腕をつかんで、階段を駆け上がった。訳も分からず、あまりの私の形相に、ただごとでは無い事に気付き、彼女も、駆け上がる。息が切れるが、無我夢中で駆け上がった。とにかく、明るいマーケットに向かって走り続けた。50メートルほど離れたところで、振り向くと、パーカーの長身の男が、暗闇に走り去るのが、見えた。「Oh! Ohhhhhhh! 」それを見て、すべてを、悟った彼女が、恐ろしいほど、取り乱したお陰で、私は少し、冷静になった。ロンドンの公衆トイレ、特に、人の少ないところでは、油断なされませんように話が横道に逸れたが、その後、このマーケットで、数点の掘り出し物を見つけ、(もちろん、あの花瓶もゲット!)幸運なことに、おまけに、明日の郊外でのフェアーへの往路、復路とも、車に載せていただく約束まで取り付けて、午前10時半に終了!アクセサリーも、たいした数ではないが、気に入ったものが買えた!マーケットのそばのAMEXで、ずっと気にしていたTCも、手数料は払ったものの、現金化出来た。戦利品が、たいした荷物ではないので、三越の中にある、クロネコヤマトで、ダンボール箱2を買う。今日は、私にとっては、一般的な買い物に当てられる日・・・。アンティークディーラーになってから、何故か、一般的な買い物が、嫌いになってしまった・・・。
紅茶や、雑貨類など買わなくてはならない物がいっぱいなのに、どうも、腰が上がらない。多分、決まりきった物の買い物が、面白くないのだと思う。だから、なるべく元気のあるうちに、買い物日を作るようにしている。買い物リストを作って、消しこんでいく。達成感があれば、少しは楽しくなるかもと、思うのだが、そんなわけでもないらしい。まあ、面倒な事は、早めにやってしまいましょうと言う訳で、今日は、頑張った!ほとんどの買い物が済んでしまった!そして、今日の大切な仕事の1つは、2年前に注文してあった、現代物の照明器具類をキングスロードにピックアップに行くことだった!これは、前回、事前連絡を怠って、失敗しているので、今回は、絶対、取ってこなくてはならなかったのだが、これも、クリアー!以前の担当者が、たまたま偶然店から出てきて、鉢合わせ!お陰で、すべてが、スムーズに運んだ。結局、すごい量の荷物になったが、肩の荷が下りた。アンティークの戦利品の数は、たいした量ではなかったが、総合的に、よく、働いた一日だった。明日は、ほんとうに早出になる。またまた、寝るには早すぎるけれど、疲れました・・・。おやすみなさい。

人間、やっぱり休みは必要です!編
4月8日(火)
目覚めると、又、電気もテレビもつけっぱなし・・。うーん、まだ3時半か・・。ベッドに起き上がっても、頭は寝てる。覚醒までに時間が掛かる・・。思い切ってベッドを降り、熱い珈琲を淹れて、甘いクッキーをほうばる。今日は、ロンドン郊外のフェアー、自力で、電車で行くと、6時半開門に間に合わない・・有難い事にロンドン在住のディーラーの車で、拾ってもらえる約束を、昨日のマーケットで取り付けることが出来た。ほんとうに、ありがたい!朝、5時45分にシェファズブッシュの友人の家付近・・・。友人が引っ越したため、場所がはっきり確定できない。地図を広げる。う~ん、よく、分からん・・。以前とたいして場所は変わっていないようだが、バス停は近いかしら?朝も早く、まだ、暗いので、そこまでバスでと思ったが、タクシーの方が無難かお金を持っている時は、本当に気をつけなくては・・・

昨日も触れたが、これは、ディーラーの鉄則!月二回のこのフェアーは、車でロンドンから30分程・・。ずいぶんな数のストールが立つ。海外(大陸)から、英語の話せない連中も、コンテナを引っ張ってやってくる。ロンドンのディーラー達も、ほとんど仕入れに来ているので、私が来ていることをアピールするのに絶好の場所・・・家具のコンテナーを、年に3回、作っていた頃は、ビジネス相手であるデリック、ジョーンズ氏と、会場を走り回っていた。昔は、いつ遇っても、家具を担いでいたと、先日、ロンドンのディーラーにからかわれた。最近は、家具のコンテナーを仕立てるのを控えている為、家具を物色することもない。時代の流れで、ビジネスの形態も、パートナーも変わってしまうことを、身体で知った。この仕事を始めてから、どれだけの人が現れ、そして、去っていったことか・・さあさあ、感傷に浸っている場合ではない。身支度を整え、いざ、出陣!(という感じ)時間は5時少し前。ラッキー!タクシーがすぐ捉った!行き先を告げ、車内から日本へ電話。皆、変わりないようだが、珍しく母の体調がすぐれないとの事、風邪らしいが、少し気になる・・。この4月から店長就任の石川が、ほんとに頼りになる。頑張ってくれているので安心する。最近入ってくれた井上も、新しい風を運んでくれた。会う人を笑顔にさせる天性を持っている。帰国まであと一週間、力を合わせて、頑張って・・・。何気なくタクシーメーターに目をやる。20ポンドを回っている?高い!驚いた途端、着いた!まだ暗いが、思ったより商店街の中だった。危険ではなさそうだが、早く着きすぎた。友人宅に入れてもらって待つ。ほどなくして、迎え到着の電話が鳴る。車内では、久しぶりに、日本語の洪水。おしゃべりに花が咲く・・。あっという間に、到着。ゲートの前に、膨れ上がる人の群れ。その中に入って、興奮のうちに開場を待つ。「あら、来てたの?いつまで?」「おはよう!いい物入ってるわよ!電話するね!」ロンドンのディーラー達から、声が掛かる。程なく開門!なだれ込むディーラー達・・。外は大物が多いので、家具を買わなければ、インドアから物色するのが、定例。飛び込んだものの、今ひとつ調子が出ない。長い間、ずっと、アウトドアから攻めていた為、インドアの業者や、勝手がよく分かっていない。いけない、いけない!冷静に考える・・。そうそう、シェード持ってる人がいたっけ!走って、スタンドを見つける。あっ!ちょうどシェードを出している!「あっ!それ、可愛い!いくら?」業者が振り向く!急に満面の笑顔「久しぶり!来てたの?こんなのもあるのよ。」箱の中から、出してくれる目新しい品を、物色しながら、次々に買い付ける・・来週ある大きなフェアーの為に、用意していたのだと言う。うーん、幸運だった!精算を済ませ、買ったシェード達を預けて、買い進む。すっかり、調子が乗ってきた。次々に、小物を買い付ける。小さいものが多いので荷物は軽い。インドアを終える。表に出る。まだまだ勝負は終わらない。右、左と、見ながら買い進む・・。広い・・・・。競馬場を会場にしているだけに、外は、果てしない感じがする。大物は、あえて見ないよう心掛ける。もし見つけても、輸送手段がない。コンテナが出なければ、話にならない。へんに見つけると、ストレスにつながる。家具が大好きなだけに、辛いことではある・・。あっという間に、9時半を回っていた。3時間か・・・。見切れてはいないが、気力が持たない。ホットサンドのスタンドで一休み。そういえば、起きてから、クッキー一枚・・お腹が減ってきた。コーヒーとホットサンドを食べながら、周りを見回せば、日本人ディーラーの顔もチラホラ、あっ、あの人も来てる。あの人も・・・。日本では、ほとんど会わない人でも、ロンドンでは遇う。みんな、頑張っているんだ!さあ、私も、頑張ろう!でも、私には、この一休みが区切りになる。理由は分からないが、一休みして、食べ物を口にした瞬間から、いいものが買えたことがない。私にとっては、終わりのサインでもある。一つのジンクス・・さてと、立ち上がったところで、電話が鳴る。何と、先日、久しぶりに和解して話せた、あの夫妻からだった。この会場にいると言う。待ち合わせて、商品を見せてもらう。さすがに、クオリティーのいい物ばかりだ。キャリアの長さを物語っている。十数点、買い付ける。有難いと思う。これだけの商品を探すためには、どれくらいの労力がいることか・・・私の欲しいと思っている品と、量を話して別れる。帰国までに間に合えば、連絡をくれると言う。インドアに戻ったところで、一緒に車で来た人たちに会う。今日は、全然、買えなかったと言う。帰りの約束は、11時。少し、早めようと言う話になった。電話すると、すぐに皆、集まってきた・・・。シェードがあるので、私だけが大荷物。車のスペースに限りがある。ある女性の膝に、やむを得ず、私の大きな鞄が載ってしまった。ほんとうに申し訳ない・・・。でも、助かりました。ありがとう!

ロンドン市内に入ったところで、降ろしてもらい、タクシーに乗り換える。これで、もう、ホテルに帰れる。思えば、日本を先週の木曜に出て、ヨーロッパ大陸からイギリスと、休むこともなく忙しい旅だった。日本を出る前も、休めなかったし、少し休んでも、バチは当たらないよね・・・よく働いたもの・・・。突然、[ハロー、ハロー」運転手の掛け声で目が覚める。やだ、又、タクシーの中で、寝てしまった!いつもだ!部屋に着くと、疲れが一挙に押し寄せる。塩ラーメンを作ろうと思いながらも、ちょっとだけベッドに潜り込む。眠りにつくのに、10秒と掛からない。まさに、枕に頭をつけた途端に、意識を失った・・。あまりの空腹に目が覚める。何と夜の9時を回っていた。9時間も寝てしまった!
塩ラーメンへの想いは、断ち切れていない。キッチンつきのホテルは、便利だ。野菜をいっぱい入れて、インスタントラーメンを作る。おいしい!至福の時!ゆっくりと、お風呂に入り、お金の収支をきちんとする。この時間にゆっくりと収支が出来るのは、久しぶり。身体も、少し楽になった。人間、やっぱり休みは必要です!そろそろ、買い付けた品もいっぱいになってきたので、整理をしたいのだが、明日まで、梱包材と箱がない。あっ、忘れていた!22周年のDMの為の写真撮り、締め切りは木曜日だった。印刷会社から言われていた。いい題材になりそうな品が、まだ買えず、手元に無い。今日買ったシェードを引きずり出して見てみる。これだけでは、絵にならない!思えば、綱渡りだ。だって木曜までに、買えないかもしれないじゃない!でも、そう思ったらそうなると、過去の偉人たちは仰る。マイナスの思考は、買い付けの旅では厳禁!行け行けで、買える事を信じる!もう一度、ベッドに潜り込む。多分、こんなに長い時間、眠れるのは、この旅では、これが最後に違いない・・水、木、金、土、日、買い付け予定は、フルに入っている!おやすみなさい・・・。明日も早い・・・・。

宿題の写真撮影しなくっちゃ!忙しいね!編
4月9日(水)
久々に、身体の隅々まで、休まった感じがする。すっきりと、爽やかに目覚めた・・・。もっとも、時間は、まだ午前2時40分。爽やかな朝(?)と、呼ぶには早い。部屋の片隅から日々、その面積を広げていく戦利品の入ったスーパーのビニール袋達が、私の仕事の成果のバロメーター。昨日から、ようやく増え始めて、ほっとする。そういえば、明日、木曜日が、DM用の写真の入稿締切日!明日中に、印刷屋に、写真を、メールで送らなくてはいけない。しかし、メインの写真にしたいと思うインパクトのある品は、未だ、買えていない・・。今度の写真は、22周年フェアーのお知らせDMの、表紙を飾る。いい写真を撮りたい・・。プレッシャーが、のし掛かる・・・・。ガサゴソと包みを開けていく・・・・。開けてみれば、シェードは、けっこう買い付けに厚みが出てきている。新聞紙を外から触って、シェードだけを見つける。シェードの包みだけを、すべて開けて、床に並べてみる。うーん、見事!ヴァセリンガラスの、黄色がかったグリーンが、今にも、溶け出しそう・・・。今日は、レベルの高いシェードが、集められる可能性のあるマーケット・・・。私が今日、訪れることは、日本を離れるずっと前に、先方に、連絡してある。注文というわけではないが、(注文しても、あるはずが無い!)私の好きそうなシェードをコレクションの中から毎回、数点、持ってきてくれる。しかし、年々、その数も減っている。無理も無い。アンティークなんて、無尽蔵にあるわけではないのだから・・・。いつまで、シェードビジネスを続けていけるのだろうか・・・?不安は、ある・・・。そうこうしているうちに、おっといけない、午前5時半を回ってしまった!油断は禁物。大急ぎで、イングリッシュマフィンに、ハムとチーズを挟んでトースト。コーヒーを淹れ、朝食をすませながら、天気予報を見る。うん、天気は大丈夫!さあ、身支度を整えて、いざ、出陣!ちょっと、出遅れた感もあるが、まあ、いいか!以前は、タクシーを使っていたのだが、最近はバスを乗り継ぐことに決めている。二つ、三つ乗り継げば、必ず目的地に行ける。ロンドンの街は、東京などと比べて、整然としていて、巨大過ぎず、分かりやすい気がする。大きな通りに出ると、バス停の前にあるデパートのウィンドウの掃除をしていた。あらためて見れば、手の掛かったディスプレイ・・・。難破船をテーマに、6つのショーウインドウが、関連を持ち、ストーリー性を持たせて続いている。錆色の髪のマネキンが、虚ろな目で、太い船用の鎖を握っている・・・・・。中島みゆきなら、歌の1つも出来そうなイメージかな?日本のデパートのウインドウでは、商品を無視して、ここまでやれない気がする。
芸術性の高いお国柄だけに、これだけ大胆にやってのけるのだろう。見る人によって、解釈も様々だと思う・・・。フランスとは、又、一味違ったアート感覚を、ウェストエンドのバス待ちの時間に、誰もが、楽しめるのは、素晴らしい!しかし、やっぱり一人旅・・・。誰とも、感動を分け合えない・・・・・。バスを二つ乗り継ぎ、いつものように目的地に到着する。時間はもう8時を回ってしまった。日本からのお土産、忘れていないよね?確認しながら、チャイムを押して待つ。いつもながらの笑顔が、重い扉の向こうで、いたずらっぽく迎えてくれた。真っ黒な長い髪、スレンダーな黒尽くめのファッションが、ふいに、ウインドーのマネキンとダブった・・・。

トレードオンリー(業者専用)の部屋に通される。商品は、以前来た時と、けっこう変わっている。回転がいいのが、一目で分かる。しばらく、他愛のない雑談をしながら、それでも目は、物色を続けている。小さなランプスタンドに、目が留まる。エンジェルが、弓を持って、身をかがめている。可愛いモチーフだ。スペルターと呼ばれる合金製。サイズが小さすぎる気もするがシェードを変えれば、ずいぶんよくなる気がするひらめいた!コレ、DMの写真に使える!!価格を聞く。少し高い気もしたが、まあ、背に腹はかえられない・・。購入を決める。頭の中で、様々なDMの構成が飛ぶ。ようやく、宿題に、メドがたって、ホっとする・・・。東京の業者さんが、ご夫妻でやってきた。初めてお目に掛かる。感じのいいご夫妻、一目で、いい人だと分かる。いっぺんに好感を持った。名刺交換をして、おしゃべりに花が咲く。年の頃は、同じくらい?少し上かな・・・?缶を専門に集めているという。奥様は、猫の人形を手作りしていらっしゃるとの事。人懐っこい笑顔が、よりいっそうやさしく見える。何だか、ほっとするお二人・・・。又、お目にかかりたいと思った・・・。一緒に、そこで、お昼をご馳走になった。ロンドンで頂くおにぎりは、格別に、美味しい!お茶、3回もご馳走になった!荷物を預けて、一通り、そのエリアのお店を見て回る。とびきり高級店のウインドーから、ちらっと、シェードらしきものが見えた。私って、ハンターの様だ。思い切ってベルを鳴らす。難しい顔の、初老の婦人。明らかに、招かれざる客という感じ!全く、笑顔が無い・・・。扉を開けながら、何しに来たの?と、眼鏡の奥の目が言っている。勇気を奮って、店内に入る。「あれを見せて」と言いかけて、それが、思っていた様なシェードじゃなく、何かの部品だったことに気付く。気まずさが漂う・・。どうしよう・・・?うわー、困った。他に欲しいものはないか?目が泳ぐ・・。無い・・・。欲しいものが何一つ、どうしても無いんだもん!冷たい視線を感じる。腕を組んで、そばに立っている婦人は、取り付く島がない感じ。何か、話そうとしたが、彼女を見て、悟った。早く出て行くことが、一番の得策。
何よりも彼女の望み・・・。「THANKーYOU」と言って、外に出た。笑顔を向けたら、無情にも、バーンと、扉が閉まった。あなたねえ、日本でそんな接客態度だったら、すぐ潰れちゃうんだから!!!!と、悔し紛れに、日本語で言って、ちょっとすっとした。あー、もうやだ!さすが、女王陛下の国、イギリス!この国の、少し年取った女の人は、絶対、レディーファーストを履き違えてる。女だからって、甘やかされて、あんなになっちゃったんだ。こうなると、日本の、男尊女卑も良かったのかも・・・。奇妙な結論に達した気がしたが、怒っていても仕方ない・・。気を取り直して、買い付けに戻る。このエリアは、高級品を探すのには適しているが、掘り出し物と呼べるものに出会った事は無い。?以前、このマーケットの路上で売っていた、ウエッジウッドのコンポート3点、すごい大掘り出し物だと、自慢して書いた記憶がある。130年以上前のマークで、型違いで、3枚買った。普通なら3万~5万はするって、大意張りした。後日談だが、あれのうち、一点のみ完品で、あとの2点は、大失敗だった事、白状しておく。あまりに興奮していて、アンティークディーラーとしての基本の基の字、忘れてしまった。一枚は、皿の縁が、大きく抉れていて、あろう事か、巧妙に、取れた部品が、のりで、貼り付けてあった。そして、もう一枚は、コンポートの足部分が、割れて、無くなっていて、真っ白な、セメントが塗りこんであった。見逃すなんて、有り得ない失敗・・・。近年まれに見る、天国から地獄、事件だった・・・。一点は、まだ店にあって、私が、奢り高ぶった時の、いいブレーキになっている。あちこち、見て回っているうちに、あっという間に、5時近くになってしまった。荷物を預けてある店の閉店は、5時!慌てて、店に戻って、荷物を受け取る。頼んであったダンボール箱と、エアーキャップ、大1巻き、新聞紙と、買った品物
合わせて、たいへんな量になった。ご主人に助けてもらって、何とか、タクシーに乗り込む。すごい量で、身動きも出来ない。見えないせいか、タクシードライバーから、時々、「大丈夫か?」と声が掛かる。エアーキャップと、抱き合って、ホテルに着いた。着いてしまえば、こちらのもの!荷物を持って、3往復した。さあ、明日から、梱包作業が始まる・・・・。そうそう、その前に、宿題の写真撮影しなくっちゃ!忙しいね!ちょっと、いい構想が頭に、浮かんでいる。明日は、一日、梱包と、撮影に当てるつもりだが、夕方からは、こちらに暮らす、姉的な友人に会う予定。私と同じ、しし座のB型。誕生日の日付が、8月14日と15日で、たった一日違い!ずっと私の目標でもある大きな存在。かつてのビジネス相手だっただけに、私の苦労や、たいへんさを誰よりも理解して下さる。歳は、私よりも少し大きいが、未だに、バレエのレッスンに通っていて、若々しい。運動を欠かさず、スレンダーな体型を保っている。この人との会食は、渡英の大きな楽しみの一つ。穏やかで、やさしいのに、凛としている。部屋に戻ると、梱包材と、今日の荷物で、足の踏み場が無くなった!やっと、安心できた。食事は、レトルトのカレーにサトウのご飯、カット野菜とハムを盛り付け、ドレッシングをかける。ほんとは、寝る前に食べちゃいけないんだけどな・・・・こちらに来ると、万年ダイエットの習慣が余計、甘くなる。懸命に働いている言い訳が、立つからか・・・?食欲には、勝てない・・・さあ、明日の梱包に向けて、今日は、早寝を決め込む。おやすみなさい・

4月10日(木)
恐ろしく、部屋に荷物が、散らばっている・・・・うーん、何だか、調子が出てきた。やっぱり買い付けは、こうでなくっちゃね!がぜん、やる気になってきた。梱包材も手に入ったし、今日は、一日、どこにも出ずに、梱包を決め込む。木曜日は、アミューズの定休日だが、ロンドンでも、ほとんどマーケットは休み買い付け旅行も、何処かで、梱包の日を一日はもうけないと、帰れない。新聞の包みを、片っ端から、開けていく。あっという間に、ごみの山!くしゃくしゃになった新聞紙とは裏腹に、美しいヴァセリンシェード達が、次々と顔を覗かせる・・・何て、魅力的な色・・・もう20年間、このガラスの魅力に、魅せられ続けてきた・・。戦争もあった、天災もあった、扱う人の、ちょっとした不注意だって、あったはず・・・ガラスはもろくはかない。割れて当たり前の製品たちが、100年近い月日を、生き抜いて、今なお、ここにその姿を、留めている事に、心から感動する。かつて100年以上も前に、誰が、ウランをガラスに練り込もうと思い立ったの試行錯誤の上、こうして製品になった時、この美しさを、想像していただろうか・・・?その仕上がりに、感動と興奮を覚え、寝食を忘れて、作り続けたに違いない。そして、出来上がった作品に心震えながらも、意気揚々と、発注先に、見せたのだろう。そして、どんな人の手に渡り、どんな人が、このガラスに光りを入れ、眺めていたのだろうか・・?アンティークの楽しみの一つは、作品の裏に隠れている、幾重にも重なる歴史の履歴に、想いを馳せる事でもあると、私は想う。もちろん、時代背景も、忘れてはならぬ。NHKでやっていたシャーロックホームズは、アンティークファン必見の、教科書的番組である。現在は、放送していないが、ビデオにあると聞いた。機会があれば、是非見ていただきたい。至るところにアンティークが溢れ、アミューズで見たことのある小物たちが、続々搭乗する・・。こんな風に使うのね!なんて、納得の連続ですから・・・・おっと、アンティークに、酔いしれている場合ではない。現実に引き戻される・梱包進めていかないと、いよいよ、やばい!帰れない!一心不乱に、梱包に没頭する。いつもながら、手も指も爪も、悲しいばかりに、真っ黒け・・・しかしながら、成果はある。積み上がっていく箱が、達成感の極み!うーん、頑張った!4個の箱が出来上がった。今日は、これでよしとしよう!あと、残すところ、3日となった・・・。そろそろ、エンジンが掛かり始めた。さあ、うかうかしては、いられない・・・。